一人称単数
発行日 2020年7月18日
発行元 文藝春秋
石のまくらに
クリーム
微積分計算の原理を追求するよりは、バルザック全集を読破する方がずっと愉しかったから
クリーム
バルザック全集
一度だけ、モーツァルトの四手のための小品を連弾したことがある。
クリーム
モーツァルト「4手のピアノ・ソナタ」
チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ
チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ
A面
(1)コルコヴァド(Corcovado)
(2)ワンス・アイ・ラウド(O Amor em Paz)
(3)ジャスト・フレンド(Just Friends)
(4)バイバイ・ブルーズ(Chega de Saudade)
B面
(1)アウト・オブ・ノーホエア(Out of nowhere)
(2)ハウ・インセンシティヴ(Insensatez)
(3)ワンス・アゲイン(Outra Vez)
(4)ジンジ(Dindi)
そのメロディーはなんとベートーヴェンのピアノ協奏曲第一番、三楽章の一節だった。こんなメロディーだ。
チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番 3楽章
ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles
そして翌年、一九六四年の四月には、全米ヒットチャートの一位から五位までをビートルズが全て独占するという事態が生じた。ポップ・ミュージックの世界にあっては、もちろん前代未聞の出来事だ。その時の五曲のヒットソングをリストにしてみる。
ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles
(1)キャント・バイ・ミー・ラヴ
(2)ツイスト・アンド・シャウト
(3)シー・ラヴズ・ユー
(4)抱きしめたい
(5)プリーズ・プリーズ・ミー
「ヤクルト・スワローズ詩集」
そのまわりはそっくり全部タイガーズ・ファン。ジョン・フォード監督の映画「アパッチ砦」を思い出す。
ヤクルト・スワローズ詩集
アパッチ砦
謝肉祭(Carnaval)
プログラムの前半はプロコフィエフの『ロミオとジュリエット』だった。
謝肉祭(Carnaval)
プロコフィエフ『ロミオとジュリエット』
トルストイは小説『アンナ・カレーニナ』の冒頭で、幸福な家庭はみんな同じようなものだが、不幸な家庭はひとつひとつ成り立ちが違うという趣旨のことを述べているが、女性の顔の美醜についてもだいたい同じことが言えそうだ。
謝肉祭(Carnaval)
トルストイ『アンナ・カレーニナ』
たった一曲だけ?
謝肉祭(Carnaval)
そうよ、ただ一曲だけ、とF*は言った。いうなれば、無人島に持っていくピアノ音楽。難しい質問だ。腰を据えて考えを巡らせる時間が必要だった。
「シューマンの『謝肉祭』」と僕は最後に思い切って口にした。
シューマン『謝肉祭』
品川猿の告白
見かけには似合わず、ドゥワップ・コーラスグループのバリトンを思わせる艶のある声だった。
品川猿の告白
ドゥワップ・コーラスグループ(1950年代のブラックミュージックの総称)
「ブルックナーが好き?」
品川猿の告白
「はい、七番が好きです。とりわけ三楽章にはいつも勇気づけられます」
ブルックナー 交響曲第七番 第三楽章
一人称単数
一人で簡単な夕食を済ませたあと、ジョニ・ミッチェルの古いLPを久しぶりに聴きながら、読書用の椅子に座ってミステリー小説を読んでいた。
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ジョニ・ミッチェル
まあ、誰にだってそういう日もあるのだと、自分に言い聞かせた。ジャンゴ・ラインハルトが正しいコードを押さえ損ねる夜だってあるし、ニキ・ラウダがギアを入れそこなう午後だってある(たぶんあると思う)。
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ジャンゴ・ラインハルト
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