【学習】山口周/外資系コンサルの知的生産術 プロだけが知る「99の心得」

学習

「外資系コンサルの知的生産術」読書メモ

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まえがき

「思考の技術」は知的生産における道具の一つでしかない。
知的生産性は「行動の技術」つまり心得によって高めることができる。
システムの出力はボトルネックによって規定される。

知的生産の手順は次の通り。

  1. 戦略
  2. インプット
  3. プロセッシング
  4. アウトプット

そして日々を通じて知的ストックを厚くすることで1~4のクオリティを高める。

第一章 戦略

1-1 知的生産のファーストステップ、工程ゼロは「どのような知的生産物であればこの局面で勝てるのか?」の見通しをつけることである。マーケティングの最重要ポイント「差別化」

  • 1) 顧客がすでに知っている知識との非対称性→最重要
  • 2) 競合との差別化→二の次

1-2 顧客の持っている情報との差別化を図るために…

  • 1) 相手が何をどこまで知っているのかを理解する
  • 2) そのうえで新しい付加価値を生み出す方法を考える

では「新しさ」とは?

  • 「広さ」相手の問題意識の外側の知識
  • 「深さ」相手の問題意識の内側の知識

「新しさ」の種類によって集める情報は変わる。つまり「広さ」と「深さ」のどちらで勝負すべきかは、情報収集を始める前に決める。

1-3 真の顧客を見極め、ターゲットを明確にし、目標を設定する。目標を設定しなければ誰も満足しない残念な結果になってしまう。ターゲットは広がるほどメッセージの切れ味は落ちる。

1-4 要求されるクオリティはどの程度、使える時間、使えるリソースも、必ず最初に確認する。当然その程度によって調べるべき手順や方法が変わってくるからである。

1-7 仕切り=顧客の期待値のコントロールを常に意識する。こちらが提供できる見込みの知的生産物に対して、相手の期待値が高すぎないかを必ず最初に確認しておく。ギャップがあるならすり合わせる、もしくは早めに警告を出す。

知的生産の失敗は「顧客の期待値と実際の成果物とのギャップ」によって決まる。

山口周/外資系コンサルの知的生産術

1-9 「とにかく情報を集める」というスタンスでは貴重な時間やリソーセスを労費してしまいかねない。「問いに対する答えを集める」というスタンスで情報収集を始める。情報収集は「問い」があって初めて成り立つ。管理職であれば「ここまでやれば及第点」というラインを部下に与えること。状況、力量、難易度に対して適切なミニマムラインを設けることが上司の仕事である。

プロとは「80%の力でクライアントを継続的に満足させる人」である。

山口周/外資系コンサルの知的生産術

第二章 インプット

2-10 問いに対し、どの情報ソースを用いるのかのあたりをつける。難しそうな問いには複数のソースをバックアップとして持っておく。ソースの種類は「社内/社外」「紙/声」、この四つの組み合わせである。定量的な情報は紙であることが多く、定性的な情報は声によって得やすい。

2-11 社外への関係者へのインタビューは知的生産におけるボトルネックとなる。他社が絡む情報の入手にはコストがかかるので、早めに確実に着手する。

2-12 インタビューの準備ではっきりさせてい問いを明確化しておく。インタビューガイドを作成し、質問はできる限り具体的にする。よい質問は良いインプットに直結する。よい質問とは、明確で具体化された質問である。良い質問を作るには、それを紙に落とし込み、明確に言い切ることである。

2-14 インタビューにおいて、わかったふりは絶対にしない。なぜか?

  • 1)「ここまでは完ぺきにわかる」からこそ「ここからがわからない」という明確な質問が生まれる。何がわからないかわからない状態では、質問できない。
  • 2)自分が理解できない点にこそ、重要なネタが隠されているということが多い。自分は非専門であるという引け目が質問の質を大きく低下させる。
  • 3)わかったふりをすると、インタビューの内容をアウトプットできなくなる。論理を自分で説明することができず、インタビューの意味がなくなる。

2-15 ほとんどのインタビューはガイド通りに進まないので、横道にそれることを恐れない。そこに重要なヒントが隠れていることも多々ある。インタビューの前、インプットの前に、アウトプットのイメージを作っておくことで、アウトプットに足りない点を補う形で効率的にインプットできる。

2-16 一次情報とは現場の情報のことをいう。クライアントはすでに開示されている情報に目を通している可能性が高く、「他の人が知りえないような情報」こそに差別化のチャンスがある。インパクトのある成果物は以下の2点。

  • 1) 相手が知らない一次情報を集めて差別化する→簡単
  • 2) 相手がすでに知っている情報を組み合わせ、新しいインサイトを生み出す→難しい

2-18 一次情報の入手に行き詰った時は、時間を取って現場を観察してみる。1日現場を眺めて、気づいた点を膨らませる。現場に向かう際には「問い」と「仮説」を事前に持っていくことが効果的。

2-20 仮説は常に持っているべきだが、決して執着してはいけない。仮説は反証されなければただの思い込みである。「正しい理由」を集めるのではなく、「間違っていない理由」を探す。正しい理由を集める出すと都合のいい事実だけを集めてファンタジーを形成することになりかねない。

2-21 コンサルタントの適性とは「腰の軽さ」である。「まず行って、まず聞いてみる」という姿勢が大切であり、机上で考察するばかりでは仕事は一ミリも前に進まない。

2-22 そのものずばりの答えなど存在しない。事例研究、つまりフィールドワークによって答えを導く。

2-23 とにかくなんとかするという意識を常に持つ。イノベーションは思いついた人ではなく、あきらめなかった人が実現している。勉強するときは5冊読めば充分。

第三章 プロセッシング

3-25 プロセッシングとは「集めたものを組み合わせ、示唆や洞察を得ること」である。目的と関係のない示唆や洞察を本筋と混同しない。文脈に沿った示唆と洞察を得ること。どうすればいいか?という質問に対する答えを探すことがプロセッシングである。

3-26 常に「行動」を提案する意識を持つ。知的成果は以下の3つだけ。ビジネスにおいては、行動まで示さなければ意味がない。「ではどうすればよいのか?」まで必ず答えること。

  • 1) 事実
  • 2) 洞察
  • 3) 行動

3-27 常にポジションをとる。必ず決断すること。知的生産物の質は、異なるポジションをとる人と摩擦を起こすことで初めて高まる。自説を明確化することで知的な粘りが生まれる。

3-28 現時点のベストエフォートとしてポジションをとる。当てずっぽうではなく、現時点で自分が持つ知識経験に基づいて根拠をもってポジションをとる。「できる人」は依頼を受けてから会社に戻るまでにアウトプットの基本コンセプトと方向性を決めている。ポジションも仮説と同じく、執着することなくいつでも捨てること。

3-29 考えても答えが出ないのは以下のどちらかが原因である。考えるのと悩むのは違う。悩んでも答えは出ない。

  • 1) 問の立て方が間違っている
  • 2) 情報の集め方が間違っている

以下に当てはまる場合は自分が「悩んでいる」のだと理解し、「問の立て方」または「情報の集め方」をやり直す。

  • 1) 手が止まる
  • 2) 言葉が生まれない

3-30 よい答えはひねり出すものではなく、自然と生まれるもの。知的生産の奥義、良い答えはうんこである。

3-31 思考は短く、何度も繰り返し行うことが効率的。人間は長時間考え続けるということができない。思考は言語で行うものであり、思考し続けるには言語をつなぎ留めておく必要があるからである。驚異的な記憶力を持つ人間であれば話は別だが、普通の人間には思考した言葉を頭の中につなぎ止め、自在に取り出したり組み合わせたりすることはできない。腰を据えて考えたいのであれば紙に書きだす。それができないのであれば思考は5分で終わらせる。思考の総量は、考えた長さではなく、回数によってきまる。

3-32 プロセッシングとは、情報を集め、分析し、細分化しグルーピングし、細分化したピースを組み合わせ、示唆と洞察を得たうえで、重要なものだけをつなぎ合わせて総論として統合することである。分析とは分けること、経営とは統合することである。

3-33 ビジネスにおける分析は「比較すること」に他ならない。「論理/創造」「分析/統合」というマトリックスで整理した場合、アウトプットの規定と問題の本質をつかむための分析はプロセッシングの前半で行わなければならない。後半はそれらの情報を統合し、創造力を駆使してアウトプットを作り出す。その根底には一貫した論理が必要である。

3-34 課題を論理で特定し、創造力を注ぎ込む。直観こそエキスパートの重要要件である。ソマティック・マーカー仮説からもわかるように、感情も意思決定の上で大切な要素である。

3-37 コンサルは筋トレと一緒で、深く考え脳に負荷をかけ、それを繰り返すことで鍛えられる。

3-38 一次情報から洞察や示唆を引き出すには、紙に書くこと。音と字では脳の使用場所が異なる。とにかく紙に書く。思考を深めるには紙に書く。

3-40 そして人に話す。目的は2つ

  • 1) 自分の思考を整理しポイントを明確にするため
  • 2) 相手にプロセッシングを手伝ってもらうため

3-41 知的生産のアプローチには3つの種類がある。時間やリソーセスの制約に応じて使い分ける。

  • 1) オプティマル:事実と論理を積み上げて答えを出す。
  • 2) ヒューリスティクス:まあまあの線の落としどころを、手っ取り早く見つける。
  • 3) ランダム:サイコロを転がす

3-42 プロセッシングに行き詰ったら?

  • 1) 視点を変える:多面的に考える。他の立場で考える。作用には必ず反作用がある。
  • 2) 視野を変える:考察の対象になる時間、空間、人物を広げてみる
  • 3) 視座を変える:二つ上の視座(上司、社長)を持つ。革命家の視点で考えてみる。

3-46 時代は流れているということを忘れない。過去のノウハウやコンセプト、フレームワークをそのまま使用することは大変危険。使用するときはきちんと考える。IBMは97年に1億円のスパコンを作ったが、2014には10万円になってしまった。アンラーンし続ける。

3-47 分析のための分析、思考のための思考に迷い込んだら、最初の問いに立ち返る。最初の問いに執着せず、過程を通じて最強の問いへと進化させる意識を持つ。

3-49 プロセッシングに行き詰ったら問いをずらしてみる。問題とは「あるべき姿と現状とのギャップである」問いをずらす。現状Aをあるべき姿Bにするにはどうずるべきか? AをBに変えるのではなく、はじめからBを用意すればよいのではないか?あるべき姿Cで代替できないか? あるべき姿と現状は固定されたものではない。または問いを裏返す。問そのものの必要性を考え直す。この問題は本当に問題なのか?むしろ武器ではないのか?解決してしまって反作用はないのか?

3-51 言葉は論理である。人間は言葉なくして思考できない。感情的な表現や気合系の表現はアウトプットには含めない。

3-52 プロセッシングの質を高める方法「用語を定義し、共有すること」、全員が同じ方向に向かって走るために。

3-53 関連して、思考停止Wordにも気をつける。「グローバル化の要請を受け、外国人社員の採用を進める」「時代の変革に対応するためイノベーションを促進する」など、聞こえはよくその通りだと思える表現の中に隠れた前提を事前にあぶりだす。

3-54 帰納法は個別→一般:全体を説明する力はなく、蓋然性の説明に過ぎない。演繹法は一般→個別:正しい結論が導かれる。演繹法で必然性を導くことができない事柄にはイノベーションのチャンスがある。

3-55 必ず自分で反証する癖をつける。反証を促すWordを口癖にする「でも、これって、そもそも、なぜ、そうなのか? もし~だったら?」演繹法は問いの皮を一枚はがすことができるが、新たな疑問を生む。帰納法はメカニズムに言及しないので、新たな疑問を打ち切ることができる。

3-57 数値の皮膚感覚を磨く。重要な数値は何となく頭に入れておく。人口、世帯数、GDP、国家予算、市場規模、等々。
 1) 日本の統計
 2) 会社四季報業界地図

3-58 自分事としてイメージする。論理を超えた感覚を探る。ビジネスにおける定説の多くはケースバイケースである。自然科学と社会科学の定説の確かさは全く異なる。ビジネスの定説は時代とともに変化し続ける。定説の違和感は「世間」と自分との情報の非対称性を生み出すチャンス。非対称性はいつの時代も金になる。

3-61 作用と反作用。例
 1) ルールが厳しい会社は本質的にルーズである
 2) イノベーションの優先度を高く掲げる会社はイノベーティブでない
極端なメモリの振れの裏には必ず何かが潜んでいる。

3-62 わからないと言う勇気を持つ。イノベーターは「Why?」わからないが口癖。「自分の頭でわかったことしか信じない」というスタンスを大切にする。大家の論考は基礎ではなく、補強として自分の論考に組み込むこと。

第四章 アウトプット

4-64 Less is moreは効率がいい。情報は少ないほど伝わる。プロセッシングの負荷が減る。アウトプットしやすくなる。「情報が伝わらないのはメッセージが少ないからではなく、結晶化が甘く研ぎ澄まされていないからである」生煮えではどんなに量が多くても伝わらない。情報の量とクオリティは反相関する。

4-65 アウトプットは3点セットで

 1) What「なにをやるべきか?」
   →行動提案
 2) Why「なぜやるべきか?」
   →しないとどうなるか?
   →するとどうなるか?
   →プロセッシングの事実と洞察を盛り込む
 3) How「どのようにやるべきか?」
   →①実行可能であること
   →②解釈の幅がなく具体的であること
   →③相手のリソースと照らして不可能でないこと

4-66 抽象行動用語を使用しない。つまり数字を使って説明する。ベクトルでなく、到達点を示す。優先順位は「説得<納得<共感」であり、共感してもらわなければ相手は動かない。

4-69 説明の極意

  • 1) 論理 ロゴス 必要条件
  • 2) 倫理 エトス
  • 3) 情理 パトス 情熱がなければ真の共感は得られない

4-70 アウトプットを受け取った相手の反応を予測する。「共感/違和感」「面白い/つまらない」マトリックスのどの位置の反応を得られるか考える。

  • 1) 共感&面白い→テンポよくシンプルに駆け抜ける
  • 2) 共感&つまらない→Howを強調してつまらなさをカヴァーする
  • 3) 違和感&面白い→Whyを強調(前出し)して違和感を取り除く努力を
  • 4) 違和感&つまらない→WhyとHowを強調する

4-72 アウトプットのフォーマットは動画/静止画/図形/文章/音声/模型など。定量的な情報は図形を使用する、定性的な情報はすべてを駆使して、目標に応じて使い分ける。

4-73 質問には答えるな。顧客の質問の多くは「反対意見」か「懸念の表明」である。なにに対する反対か?どこに対する懸念かをはっきりさせないまま回答すると、アウトプット全体の信頼性を落とすことになる。質問には質問で返し、そこからより良質なインプットを得るようにする。抽象的な質問に正面から回答するとやけどする。

4-74 アウトプットが出ないときは、インプットが足りない。締め切りの前日だとしても、アウトプットが出なければインプットをやり直す。

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この記事を書いた人

平成生まれのアラウンド・サーティーです。30歳を迎えるにあたって何かを変えなければという焦りからブログをはじめました。このブログを通じてこれまでの経験や学びを整理し、自己理解を深めたいと思っています。お気軽にコメントいただけますと励みになります。どうぞよろしくお願いいたします。

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